rakra110号特集「エブリタイム! 喫茶店」で紹介した、盛岡市上ノ橋のたもとにある「敲太楼山荘」。

窓からの風景も魅力のひとつで、中津川の澄んだ流れはもちろん、通勤している人、川沿いを散歩している人、水遊び、雪遊びをしている人など、盛岡の暮らしが垣間見えます。

冬は真っ白な雪景色。この日はお客さんが描いたというスノーアートが見えました。?
写真・大谷広樹

ふと川向こうに目をやると、何やら建設中らしき建物が。聞けば、全国チェーンのドラッグストアができる予定だそう。
「実は、このことにまつわるエピソートがあるんです」。そう言って、店主の古沢さんは笑顔を見せます。

川向こうにドラッグストアが建設されると知ったとき、古沢さんは「この風景は盛岡の人の心」と、景観への配慮を要望するメールを企業宛に送信。するとすぐにレスポンスがあり、東北の店舗を統括する担当者が来店。実際に中津川沿いの風景を見に来てくれたのだそうです。

ちょうどその日は晴れで、岩手山が見える中津川の景色を、窓越しに撮影するお客様もいたとか。そんな様子を見て「これは確かに、うちの看板や店舗が景観を邪魔するかもしれません……」と企業の担当の方。後日、景観に配慮した外観になるよう、図面を引き直してくれたのだそう!

「クリスマスイブに、引き直した図面を持ってきてくれたんです。最高のクリスマスプレゼントでした」と古沢さん。その日のことをうれしそうに話してくれました。

写真・敲太楼山荘SNSより

この景色を守りたいと、アクションを起こした古沢さんの想いの深さ。そして、想いを受け取り、計画を改めた企業の心意気。「愛をもって行動したり、思いを伝えることは大切だな」と、胸が熱くなったエピソードでした。

こうして守られた中津川の景観を、特等席から楽しめる「敲太楼山荘」。今号のrakraで紹介したモーニングはもちろん、どの時間帯も魅力的なメニューを味わえます。ぜひ出かけてみてください。

(ライター:佐藤春菜)