岩手山が育む豊かな恵みと風景を楽しむ

アグリツーリズモ八幡平

岩手山に雪形「鯉の滝登り」が現れると、
岩手県八幡平市にも本格的な春が訪れる。
八幡平市を囲む山々からの雪解け水が
伏流水として里に流れ込み、田畑を潤す。
いま八幡平市では、その恵みによってつくられる
食材の数々と地酒を楽しむ
「八幡平アグリツーリズモ」に取り組んでいる。
その中心となるのが、
「地域食材×わしの尾」の
ペアリングメニューを体験できるコンテンツ。
体験できるのは八幡平市でのみという
"新しい旅"に出かけてみよう。

旅の記憶は味覚の記憶地元食材と酒を味わう

 いま八幡平市岩手山麓エリアで、自然に囲まれた地に滞在しながら食文化を体験する旅のスタイル「八幡平アグリツーリズモ」が進められている。その中心となるのが、地酒「鷲の尾」と八幡平食材を使った料理のペアリングメニューだ。
 これに協力したのが、ソムリエで料理研究家の西祐子先生である。八幡平市に初めて行ったのは平成30年(2018)秋。作り手の想いが感じられる食材や地酒に感銘を受けたという。今回のメニュー開発にあたり、提供する温度帯や酒器にもこだわった。
 「例えば、お造りには純米吟醸酒 結の香をワイングラスで、温かい料理には上撰 鷲の尾をお猪口で味わっていただくというふうにです」
 料理ごとにペアリングを変えることで、エンターテイメント性が高まるという。そして、料理に使う食材は、鷲の尾と同じく岩手山の伏流水で育てられた八幡平サーモンや八幡平マッシュルーム、杜仲茶ポークなどだ。
 「わしの尾」の工藤朋さんは、ペアリングメニューに新しい可能性を感じている。八幡平市に初めて来た旅行者でも鷲の尾をおいしく飲む一番の方法が分かるようになったからだ。
 「料理と鷲の尾を八幡平で楽しむ時間はプレミアム感があると思うのです。そして、おいしければ記憶に残ります」
 このペアリングメニューを提供しているのは「いこいの村岩手レストラン岩手山」と「ビジネスホテル西根」である。両施設へのアクセスは、東北自動車道西根IC下車をお勧めする。本取組には、地元の旬な新鮮野菜を多く取り揃える「道の駅にしね」や鷲の尾の専門店「澤口酒店」、農業のアミューズメントパークである「サラダファーム」、岩手山を眺められる温泉「岩手山焼走り国際交流村」なども参画している。地域の農(みのり)を存分に堪能する八幡平アグリツーリズモの旅に、今後も注目していきたい。

八幡平食材×わしの尾のペアリング

焼物「八幡平牛のステーキ 牛蒡ソース 温野菜添え」(手前)や温物「杜仲茶ポークと南瓜の赤出し仕立て」(中央)など温かい料理には、「上撰 鷲の尾」のぬる燗を合わせている。
「いこいの村岩手 レストラン岩手山」のペアリングメニュー「会席食膳八幡平のめぐみ」。季節によってメニューが変わる。
  • 食前酒のあとは先付と椀。これに合わせるのは、ワイングラスで提供される「純米吟醸酒 結の香」。
  • 食前酒「数種のベリーの酒グリア」には、「鷲の尾 生」を使用。

いこいの村岩手 レストラン岩手山

八幡平食材の魅力を会席膳で

 会席料理にはストーリーがあり、それに合わせて献立を考え、「わしの尾」の酒を合わせていく。その始まりは「鷲の尾 生」と数種のベリーを使った酒グリアだ。シャーベットのような食感で、ベリーの甘さのあとに酒の旨みが感じられて美味。八幡平食材で紡がれる季節のストーリーへの期待感がふくらむ。

  • 「いこいの村岩手」総料理長・藤村裕士さん。
  • お造りには、「澤口酒店」限定販売の「蔵囲い 純米酒」。八幡平サーモンと八幡平マッシュルームの刺身が食べられるのは、産地・八幡平市ならではである。
  • 岩手県八幡平市平笠24-1-4
  • TEL 0195-76-2161
  • 営業時間/ランチは日曜・祝日11:30〜14:00(13:30L.O.)、ディナーは宿泊者限定18:00〜21:00 ペアリングメニュー「会席膳八幡平のめぐみ」の料金/宿泊プランは1泊2食付1名14,300円〜(税込)・4名以上、日帰りプランは1名8,800円・8名以上。5日前までに予約

ビジネスホテル西根

居酒屋で楽しむ杜仲茶ポーク

 杜仲茶ポークや八幡平牛、八幡平サーモンなど地元食材に特化したメニューが並ぶ居酒屋。ここのペアリングメニューは「杜仲茶ポークのチーズカツレツ」。カツレツにかかるトマトソースには「麹屋もとみや」の味噌を隠し味に使用している。これに合わせるのは、「わしの尾」のフラッグシップである「金印」だ。

  • 料理長・伊藤誠一さん。4月以降、八幡平市らしいメニューがさらに加わるという。
  • 「杜仲茶ポークのチーズカツレツ ペアリングSET(2,750 円・税込)」には前菜2種と「金印」1合がつく。
  • 岩手県八幡平市大更25-128-15
  • TEL 0195-75-1589
  • 営業時間/11:30〜14:00(13:30L.O.)、18:00〜21:30(21:00L.O.)
  • 定休日/土曜ランチタイム、日・月曜

わしの尾

岩手山麓の米と水で醸す

 文政12年(1829)創業。岩手山の伏流水でつくる日本酒は、全国新酒鑑評会での金賞受賞のほか、フランスの日本酒コンクール「KURA MASTER2021」で純米大吟醸部門でトップ5に選出されるなど、国内外で認められている。ほぼ地元・岩手県内に販売が限られている地域の酒である。

  • 仕込んだタンクをも確認する代表取締役・工藤朋さん。
  • 八幡平市大更の歴史を残す「わしの尾」の母屋。2月の蔵開きなどに使われる。
  • 温泉熱を利用したハウスで栽培される八幡平マッシュルーム。
  • 名水「金沢清水」と同じ水系の湧き水で育てられた八幡平サーモン。
八幡平食材と「わしの尾」の地酒のペアリングメニューを開発した料理研究家・西祐子先生。料理教室主宰のほか、企業へのレシピ開発提供、雑誌オレンジページのスタジオ講師、メディア出演等幅広く活動中。土地に根差した食材を首都圏に広める活動も行う。
  • ■八幡平アグリツーリズモの申込・問い合わせ
  • 岩手山サービスエリア周辺観光振興協議会(事務局/株式会社八幡平DMO)
  • 岩手県八幡平市大更25-68-2 開福ビル2 階D号
  • TEL 0195-78-8882
  • 営業時間/月〜金曜 9:00〜17:00
  • 定休日/祝日、夏季休業、年末年始 ※不定休あり
  • https://hachimantai-onsenkyo.trip8.jp/

※本内容は(一財)国土計画協会が主催する「高速道路利用・観光・地域連携推進プラン」の支援金を活用し掲載しています。