こんにちは。
岩手医科大学薬学部に勤務する杉山育美です。
薬剤師の目線で、いますぐ誰かに話したくなる「薬の豆知識」をお届けいたします。
本日は「剤形」、すなわち、薬の形のお話です!
最も馴染みがある剤形は「錠剤」と呼ばれているものかな、と思います。
薬の名前に〇〇錠と書かれているものが錠剤です。
錠剤はPTPシートと呼ばれるシート状の容器に入れられている物が多く、飲むときにプラスチック部分を押し反対側のアルミを破いて薬を取り出します。
1錠ずつ取り出すことができますし、持ち運びに便利、そしてお水でゴックンと飲みやすいと感じる方が多いと思います。
しかしながら、固形物を飲み込むのが苦手な方や、小児や高齢者の方にとっては1cm程の大きさの錠剤を飲み込むことが難しい場合があります。
そのような場合に飲みやすいお薬で代表的なのが
・「散剤」と呼ばれる粉薬
・「顆粒剤」と呼ばれる散剤より少し大きい粒状の粉薬
・「シロップ剤」と呼ばれる液体の薬
などです。
正確に言うと少し語弊がありますが、簡単に説明してしまうと
・散剤を1cmくらいの大きさに固めたもの→錠剤
・散剤を小さな粒状にしたもの→顆粒剤
・散剤を溶かしたもの→シロップ剤
というイメージです。
でも、どのように使い分ければよいのでしょうか・・・
ずばり!みなさんが飲みやすいものを選べばOKです。
そう言われても、何が、どう違うのか?
それぞれの長所と短所をご紹介したいと思います。
錠剤 | |
長所 | 短所 |
数を数えやすい 薬の種類を判別しやすい (多くの方にとって)飲みやすい 持ち運びに便利 味やにおいをマスクできる 効果が長時間続くようにできる など |
人によっては飲み込むのが難しい 割ったり潰したりしてはいけないものがある 体重によって細かく服用量を調節しにくい など |
散剤(最も古くから使用されている) | |
長所 | 短所 |
体重によって細かく服用量を調節できる 大きい粒が飲めない方には飲みやすい など |
苦味を感じやすい 粉が舞いやすく飲んだ時に むせてしまうことがある 薬の種類を判別するのが難しい 湿気に弱い 効果が続く時間を調節できない など |
顆粒剤 | |
長所 | 短所 |
散剤よりも粉が舞いにくく飲みやすい 味やにおいをマスクできる 体重によって細かく服用量を調節できる 大きい粒が飲めない方には飲みやすい 効果が続く時間を調節できる など |
歯の隙間などに詰まることがある 複数の薬を混合しても混ざりにくい など |
シロップ剤 | |
長所 | 短所 |
苦みをマスクして、色調も好ましくできる 固形が飲みにくい方も飲める など |
液体で持ち運びに不便 飲む時に計量する必要がある 味が苦手な人もいる など |
全ての薬に対応できるとは限りませんが、別の剤形が売られている場合、医師や薬剤師に、「錠剤は嫌です」や「顆粒がいいです」などと要望を伝えることで、希望の剤形の薬を出してもらえることもあります。薬を飲むときの参考にしてみてくださいね。
岩手医科大学薬学部 講師 博士(薬学)
薬剤師
スポーツファーマシスト
アスリートフードマイスター
薬剤師を身近に感じてもらいたいとSNSなどを通して発信中。
アスリートやサポートスタッフ、ご家族に対してアンチ・ドーピング活動をすると共に勝利のためには健康であることの重要性もお伝えしている。
近年はアスリートを含む女性の健康サポートにも力を入れている。