こんにちは。
岩手医科大学薬学部に勤務する杉山育美です。
薬剤師の目線で、いますぐ誰かに話したくなる「薬の豆知識」をお届けしております。

本日は、「塗り薬」のお話です。
軟膏剤、クリーム剤、ゲル剤など皮膚に塗る薬に焦点を当てていきます。

気温の寒暖差が大きく肌荒れが気になる今日この頃ですね。
また、これから冬に向けて乾燥が気になる季節でもあります。
乾燥対策のハンドクリームやボディクリームに限らず、病院でもらった塗り薬を使用されている方も多いのではないかと思います。 そんな塗り薬たちを効果的に使うポイントを
「1.塗り方」、「2.量」、「3.時」に分けてご紹介いたします!

1.塗り方
まず、塗り薬を塗るときの「塗り方」には2種類あります。
▷ 塗布・・・優しく伸ばして塗る(例:多くの軟膏剤、クリーム剤)
▷ 塗擦・・・擦りこんで使用する(例:ステロイド、保湿、消炎鎮痛を目的とした塗り薬)

「塗布」と指示されている場合は、皮膚の上に薄く延ばすように塗るのが良いでしょう。
一方、「塗擦」は皮膚に塗り込むイメージです。ただし、強く塗りこみすぎると皮膚にダメージを与えてしまうので、優しく繰り返し塗るのが良いとされています。

2.量
次は、塗る量です。
塗る量の目安は手の人差し指を使った「1 FTU」で説明されることが多いです。
1 FTUとは 1 finger tip unitの略で、写真のように人差し指の先端から第一関節までの量(約0.5 g)を示しています。

1FTUで両手の手のひら(=手のひら2枚分)くらいの面積に塗ることで効果が感じられると言われています。
(内容量が5gの小さいチューブの場合は、口径が小さいので1FTUで手のひら約1枚分)

手のひら以外の場所については以下の通りです。
▷ 顔と首・・・2.5 FTU
▷ 胸と腹・・・7 FTU
▷ 背中・・・7 FTU
▷ 片腕(肩から手首まで)・・・3 FTU
▷ 片脚(太ももからスネまで)・・・6 FTU
▷ 片足(足首からつま先まで)・・・2 FTU

あくまで目安ですが、塗布量が少ないと効果が減弱したり、効果が得られなかったりするので参考にしてみてください。

3.時
最後に、いつ塗るのが効果的なのか、です。
病院で出されたステロイドの塗り薬などは医師や薬剤師の指示に従いご使用ください。
最も治療効果の高い使用方法が指示通りに使用することです。

その他、市販のハンドクリームやボディクリームは気になった時に塗れば良いと思いますが、
水仕事の後やお風呂上りには、特にしっかりと使用して保湿することが効果的です。

この時のポイントは、水仕事やお風呂の後「すぐに!」です。
水分が蒸発するときに体に必要な水分も一緒に持っていかれてしまいますので
水分を拭き取ったら、何をするよりも先に!間髪いれずに!すぐに!使用するのが良いでしょう。

塗り薬を上手に使って、健康な肌を維持してくださいね。

杉山育美
岩手医科大学薬学部 講師 博士(薬学)
薬剤師
スポーツファーマシスト
アスリートフードマイスター
薬剤師を身近に感じてもらいたいとSNSなどを通して発信中。
アスリートやサポートスタッフ、ご家族に対してアンチ・ドーピング活動をすると共に勝利のためには健康であることの重要性もお伝えしている。
近年はアスリートを含む女性の健康サポートにも力を入れている。