こんにちは。
岩手医科大学薬学部に勤務する杉山育美です。
薬剤師の目線で、いますぐ誰かに話したくなる「薬の豆知識」をお届けしております。

本日は、風邪薬のお話をしたいと思います。
風邪とは、鼻やのどの急性炎症で、粘膜から感染して炎症を起こすため、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、のどの痛み、咳、たん、発熱などの症状がでる症候群のことです。
きっと多くの方が1度はかかったことがある病気のひとつではないかと思います。

市販に売られている風邪薬は、様々な症状に効果がある複数の成分を1回分の錠剤や１包に混ぜ、一般的な風邪の症状を抑えられるようにしているものが多いです。

一方で、病院を受診した場合は、症状に合った薬だけが出されることが多いです。
例えば、熱を下げるためにアセトアミノフェン、痰が絡むのを和らげるためにカルボシステイン、咳が出て苦しい時には気管支を広げるツロブテロールの貼り薬、のような感じです。
複数の症状がみられるときには、市販薬と同様、複数の成分が混ざったPL配合顆粒のような総合感冒薬が出されることもあります。

ですので、病院を受診した際には医師に症状を正確に伝え、本当に必要な薬を処方してもらうことが大切です。

その他、以下のポイントについても知っていただけると良いと思います。

１　病院でもらった薬を飲んでも効果がないとき

このような場合、ドラッグストアなどで市販の薬を購入し、追加で飲みたくなってしまうことがあるかもしれません。
でも、それはＮＧの行動です。
薬には適切な服用量があり、適切な量を超えると逆に体調が悪くなってしまうというリスクがあります。これが「副作用」です。
もし、病院から処方された薬と同じ成分が購入した薬にも入っていると、それは過量投与になりますので副作用が出る可能性に繋がります。
病院で処方された薬を指示通りに飲み終わったのに効果を感じない場合や、処方された薬が残っていても体調が悪化するようでしたら、自己判断で薬を追加するのではなく、再受診して正確に症状をお伝えください。
この際、1回目と別の病院にいくことも良いかもしれません（セカンドオピニオンといいます）。

２　症状が良くならずに再受診するとき

再受診するときには、お薬手帳の持参もしくは今飲んでいるお薬の種類をお話できるように準備して行ってください。
今飲んでいる薬の種類が分かれば、それとは別の、今の症状に対してより効果的な薬に変更してもらえるかもしれません。
また、ＰＬ配合顆粒を飲んでいるのに熱を下げるためにアセトアミノフェン（商品名：カロナール）が追加されてしまった場合、両方の薬に含まれるアセトアミノフェンを過量に服用することになってしまいます。
お薬手帳などで服用しているお薬が分かれば、医師や薬剤師は重複がないかをチェックすることができます。

＊最後に＊

病院を受診後に薬局でお薬をもらうとき、最短で治るように薬剤師の説明をしっかり聞いて服用ください。
ドラッグストアなどでお薬を購入する際には、店舗にいる薬剤師もしくは登録販売者に遠慮せずお気軽にご相談ください。

杉山育美
岩手医科大学薬学部　准教授　博士(薬学)
薬剤師
スポーツファーマシスト
アスリートフードマイスター
薬剤師を身近に感じてもらいたいとSNSなどを通して発信中。
アスリートやサポートスタッフ、ご家族に対してアンチ・ドーピング活動をすると共に勝利のためには健康であることの重要性もお伝えしている。
近年はアスリートを含む女性の健康サポートにも力を入れている。